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レディー・ガガのタトゥー(Lady Gaga Tattoo)で読むリルケ。

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近頃リルケはレディー・ガガの左腕で踊っている



Lady Gaga's Rilke Tattoo
Copyright © 2009;Lady Gaga's Rilke Tattoo By On Being on Flickr

若者たちが音楽の話で盛り上がっている。
話題がクラシックとか、ジャズなら、何気なく薀蓄を
かたむけたりしながら、話に加わることが出来るのだが、
近頃の女性ポップス歌手あたりの話になると、急に何か用事を
思い出して席を離れるのが常だった。

ところが、レディー・ガガだけは別だ。
急用は思い出さなくても宜しい。
逆にこう聞いてやればよい。
「ところで、君たちはリルケって知ってる?」
「レディー・ガガの左腕になんか刺青してるだろ」
「あれは、実はリルケの言葉なの」
そう言って、話題を得意分野に引っ張ってしまえばよろしい。

レディー・ガガには、19歳で亡くなった詩人のおばさんがいた。



刺青は、彼女が2009年に "SUMMER SONIC 09" というイベントで来日した際、
大阪の彫師さんのところで入れたようだ。そのとき彫って欲しい文面を書いた
カードを持ってきたのだが、このような物だった。


Copyright © 2010;Rilke Tattoo [Gaga Full] by AloudAndProud on Flickr

これは、ドイツ語である。しかもリルケが、若い詩人に送った励ましの
手紙の一節であり、いわば芸術に携わる者が行うべき、クレドというか、
信仰宣言のような文章なのである。

カードの2行目に小さな文字で、"12-18-1974"と書いてあるが、これは19歳で
亡くなったというレディー・ガガのおばさんの命日である。

リルケが手紙を送った相手は、学校の後輩でカプス君という。彼の年齢も
ちょうど19歳頃。(この文章は、レディー・ガガというよりも、ひょっとしたら
亡くなったおばさんが好きだった文章なのではないか?と推測するのだが
どうだろう)

若き詩人への手紙とは、どのような内容なのか


まだ二十歳にもならない青年とあるから、おそらく18~19歳と想像する
のだが、カプス君という詩人を志す若者がいる。
自分に才能があるのか、世間で通用するのか分からず悩んでいた所
たまたま先生がリルケの恩師であったことを知り、先生の紹介でリルケに
自分の作品を送って批評をお願いした。
それをきっかけに、リルケとカプス君の文通が始まって、リルケから来た
手紙は10通に及ぶ。それをまとめたのが、「若き詩人への手紙」だ。

レディー・ガガが持ってきたカードの原文は、次のようなものだ。

"Prüfen Sie, ob er in der tiefsten Stelle Ihres
Herzens seine Wurzeln ausstreckt, gestehen
Sie sich ein, ob Sie sterben müssten, wenn es Ihnen
versagt würde zu schreiben.Dieses vor allem:
Fragen Sie sich in der stillsten Stunde Ihrer Nacht:

Muss ich schreiben?"


訳すとこうなる。

あなたの夜のもっとも静かな時間に、ご自分の心にたずねてみてください。
自分は書かずにいられないのかと。深いところに根ざした答えを求めて、
ご自分の心の中を掘りさげていってごらんなさい。もしその答えが肯定的な
ものであって、この重大な問いに対して、力強くただ一言「私は書かずには
いられない」と答えることができるようでしたら、あなたの人生をこのやむに
やまれない事にあわせて設計していってください。

       「若き詩人への手紙」 三城満禧訳 世界文学全集 集英社


(黄色で、マーキングした箇所が、レディー・ガガの文章から省略されている箇所)

このあと、色々なアドバイスをした後で、こういう文章が続く

書かないでも生きてゆけると感じれば、もうそれだけで、その人は詩人で
あってはならないのです。


これは、経済的に食っていけるとかいけないとかの話ではなく、経済的に
十分に満たされていても、またはその逆であっても、書かずにはいられないという
心の奥底から湧き出てくる衝動がなければ、作られた詩がどんなに技巧的に優れていても、
その作成者を詩人と呼ぶわけにはいかない。
ということを言っているのだ。

この一節は、古今東西の全世界のアーティストに向けられた問いなのである。

詩や小説を書かなければ死んでしまうか?
絵を描かずにはいられないという心底からの衝動があるか?
歌わずには一日として生きていくことは出来ないか?
もし、心からそう思えなければ、あなたはアーティストであってはならない。

と言われているのだ。この問いには、半端な根性では向き合えないだろう。

レディー・ガガはとても真摯なアーティストなのだと思う


このリルケの文章の意味を真摯に受け止めていて、それが自分の左腕に
刻印されていて、常に「おまえは心の底から歌いたいと思って歌っているのか?」
と問いかけられているとしたら、ちょっと今日は手を抜こうとか、適当に
スケジュール消化とかはできないだろう。

レディー・ガガは奇抜な衣装、行動、イケイケ娘いろんなイメージが
あったが、実はとてつもなく真面目なアーティストなんだろうと思う。

リルケのこの問いかけを文字通り、肌身離さずに自分に問うているのだ。
こんなことを考え付くアーティストなんてそういない。おそらく普通の人間は
途中で疲れ果てる。(そういう人はたぶん、詩人であってはならない人だった
からなのだろうが)

僕は、レディー・ガガにエールを送りたい。心の底からの歌を聞かせてくれ。
あなたを見るとき、あなたの左腕にあるリルケの言葉が聴衆にも同じように
問いかけているのだ。
あなたは、真摯に生きているのか?
その仕事をしたいという、心の底からの衝動があるか?
レディー・ガガの歌を聴かなきゃ一日たりとも生きていけないか??うん?
これはちょっとちがうか。

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